「最近、電話越しに聞き返されることが増えた」「昔より聞き取りにくい声だと言われる」——声の変化に気づく瞬間は人それぞれです。なぜ声は低くなるのでしょうか。
この記事では、声が低くなる原因を年代別・要因別に整理し、どのような方に喉頭形成術が適応となるかをご紹介します。「自分の場合はどうなのか」を見極めるヒントとしてご活用ください。
声の高さを決める3つの要素
人の声は主に以下の要素で決まります。
- 声帯の長さ・厚み(最も影響大)
- 声帯の張力(筋肉の緊張度)
- 共鳴腔(口腔・鼻腔・咽頭の形状)
これらの変化が重なって、声の高さや印象が変わっていきます。
年代別・声が低くなる主な原因
10代後半〜20代:思春期の二次性徴
男性は思春期に声帯が約 1cm 長く・厚くなり、声が低くなります(いわゆる声変わり)。この変化は身体的なもので、トランスジェンダー女性(MtF)の方で声のお悩みがあるのは、この二次性徴で一度低くなった声帯を元に戻せないためです。
30代〜40代:ホルモンバランスの変化・生活習慣
この年代では以下の原因で声の変化を感じる方が多くなります。
- 女性ホルモンの減少(女性の場合)
- 喫煙・過度の飲酒
- 慢性的な声の酷使(教師・接客業・営業など)
- 睡眠不足・ストレス
- 逆流性食道炎による声帯炎症
50代〜60代:更年期・加齢変化の始まり
女性は閉経を境に女性ホルモン(エストロゲン)が急減し、声帯にも変化が現れます。声がハスキーになる、低くなる、伸びがなくなるといった症状が多くみられます。男性も声帯の筋肉量が減り始め、声のハリがなくなってくる時期です。
60代以降:本格的な加齢性音声障害(プレスビフォニア)
加齢により声帯の筋肉が痩せ、発声時に左右の声帯の閉まりが悪くなります。すると声が出しにくくなったりかすれやすくなります。医学的には「プレスビフォニア(老人性音声障害)」と呼ばれ、QOL(生活の質)を下げる要因として注目されています。
疾患・治療によって声が低くなるケース
年齢とは関係なく、以下の要因でも声は低くなります。
ステロイド剤の副作用
喘息・アトピー性皮膚炎・膠原病などで長期ステロイドを使用している方は、声の男性化(低音化)が起こることがあります。これは薬物性の副作用で、多くの場合保険診療での対応が可能です。
甲状腺・頸部の手術後
甲状腺摘出・喉頭がん・頸動脈手術などで反回神経に影響が及ぶと、声帯麻痺を起こし声が出にくくなる・かすれることがあります。
喉頭外傷
交通事故や首への衝撃で喉頭に損傷があると、声帯や軟骨の構造が変化し声質が変わることがあります。
男性ホルモン製剤の使用
筋肉増強剤・男性ホルモン療法(FtM含む)により、声帯が変化し声が低くなります。FtMの方は目的通りの変化ですが、副作用として声が低くなりすぎることもあります。
自然な加齢なのか、治療対象なのか
「自分の声の変化は自然な老化で諦めるしかない? それとも治療で改善できるもの?」——これは多くの方が抱える疑問です。判断には医師の診察が必要ですが、以下のような症状がある場合は、治療対象となる可能性が高いため、一度音声外来で診察を受けることをおすすめします。
- 声が出にくい日が増えた
- 長く話すと喉が疲れる
- 声の高さが以前より明らかに低い
- 声の震え・かすれが気になる
- 電話で聞き返されることが増えた
- カラオケで昔の曲が歌えなくなった
まずは一度ご相談ください
声の変化の原因は、内視鏡での声帯観察と音声検査によって客観的に判断できます。「自然な加齢で諦めるしかない」と思っていた症状が、実は治療可能だったというケースは少なくありません。
気になる症状がある方は、音声外来(要電話予約)でお気軽にご相談ください。あなたの声の状態と治療の選択肢をお伝えします。